『孕む』 07 藍
あかねの膣口から、赤ん坊が胸まで出て来ていた。
「ほら、もうすぐだぞ。頑張れ」
「はっはっはっはっはっはっ…」
あかねにはもう答える余裕もない。
あかねの持ち主である黒井は、先ほどからずっと会話にも加わらず、あかねの側に着いて励ましている。
だが、黒井の側にもやはり、付き従う女はいる。あかねは出産の真っ最中であるが、朝木が欠席であっても瑠璃を差し向けた為、女の数は足りている。残るひとり、柿崎が連れてきた藍である。
藍は、黒井の身体を背中から抱きしめ、その猛々しく屹立した逸物を、両手で包み込み、ゆっくり上下させていた。そしてこの場の女たちの誰よりも豊満な乳房を備えた躯を、ローションに塗れさせて背中にこすりつけ、時折肩口をついばむように唇で愛撫している。あかねを見守る黒井の緊張をほぐす為に、マッサージをしているのである。
「…っん…はむ…ん…ぁふっ…」
藍は、あかねが産気づいてからは、ずっと黒井に着いている。他の女たちが相手を変えて様々な奉仕を求められているのに比べたら、ひとり楽をしているように見える。この中でも一番、嗜虐趣味の強い柿崎の牝奴隷であり、日頃から拷問まがいの苛烈な調教を受けている藍にはそぐわない。
しかし、ある意味では、藍が一番、辛い奉仕をしているとも言える。黒井は前のめりになってあかねの腹をさすり、気を揉んでいる。藍にかまう余裕などないのである。その巨乳に見合う大きさの乳首を、黒井の背中に押し付けて、摩擦による鈍い刺激を得るのが、藍にできるせめてもの慰めであった。そしてもちろん、黒井のことを射精に導くこともできないままに、牝奴隷である藍の方が、おおっぴらに快感を得ていいわけがないことは、言うまでもない。
桜子がどれほど激しく青柳に突き上げられたとしても、その膣穴に肉棒が入っている限り、桜子自身も快感を得られる。紫織が藍の主人である柿崎に喉奥を突かれてえずいていても、四つんばいになって尻を突き出している限り、男達の気まぐれにでもいじってもらえることを期待できる。藤堂の股ぐらを舐めている瑠璃も、紺野についているもえぎも、一心不乱に奉仕しているだけでよいのだ。藍に比べたら、楽なものであった。
また、藍にはもうひとつ、気遣わねばならないことがあった。黒井がどれだけ前のめりになったとしても、牝奴隷である藍が、その質量のある巨乳を含めた体重をかけて、黒井を押し潰す格好になるわけにはいかない。わずかでも息苦しさを感じさせたら、柿崎はめざとくそれを咎め、後で厳しい仕置きが待っているであろう。藍は、その全身を使って黒井の身体を撫で回しながらも、常に黒井に合わせて少しだけ躯を浮かせていなくてはならかった。その体勢を保ちながら、満たされないもどかしさを抱えて、マッサージを続ける。それが、藍に課せられた役目であった。黒井への奉仕にかこつけて、柿崎はこの場に於いても、藍を調教しているのである。
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