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□ 『研修』 □

『研修』 06 バイヤー

『はい。それではNo.39807565は、サンフランシスコ源氏様が9億4千万円で落札されました! おめでとうございます』

「よし!狙い通りだ!」
 オフィスでオークション会場の中継映像を見ていた男が、小さくガッツポーズをした。
「やったな、もう少しで10億じゃないか」
「クリスに研修を担当させた甲斐があったな」
「狙い通り、シスコ源氏様が落札か、すごいな」
「ええ。はい、ありがとうございます」
 男の顔には、周囲の同僚の口々の賞賛を受けて、安堵の色と笑みが浮かんでいた。
 男には、このオークションに対して責任があった。先ほどまでNo.39807565と採番されていた少女、天童頼子の“入荷”を決定した担当者だったからだ。彼女を持ち込んだ業者と交渉し、吹っ掛けられた仕入れ値を値切ったのはこの男であり、彼女の魅力を引き出す適切な研修を提案し、商品価値を高めるようにしたのもこの男、調達部の小折だった。


 先に述べたように、商品価値を見出されて入荷され、競売に出品される奴隷は、様々なタイプがいる。そのなかにひとつ共通点を見出すとするならば、身も蓋もない端的な話であるが、売れる、ということである。
 この“会社”のようなオークションハウスの多くは、その扱う品物の特殊性ゆえ、完全な会員制を取っている。入会する為には、既存会員からの紹介を受け、厳重な審査にパスしなくてはならない。言わば社交クラブであり、もっと正確には秘密結社とでも言うべきだろうか。文字通りハウスを中心として、同好の士が集まるコミュニティが形成されているのである。
 そんな顧客の性癖や嗜好を前提に仕入れられていることで、そのハウスの品揃えには自ずと傾向が出てくる。例えばティーン専門、外国人および混血児専門、熟女専門、男子専門、肉体改造済奴隷専門などである。また、一度誰かに飼われた奴隷専門、言わば中古市場というものも存在した。
 このハウスは、顧客数が特に多いことから、それほど限定的なレッテルが付くほどの品揃えの偏りはなかったが、敢えて言うなら低年齢、未成熟な奴隷が多めである。それは、前に述べたような不可逆性や可能性といったものを重要視する考えがあるからであり、その商品を好む顧客が集まってきているからである。その商品の希少性から、ここの取引価格は同業のハウスのなかでもトップクラスであった。だがそれは、それだけの代価を払っても良いと感じる好事家が顧客として付いているということでもある。
 だが、どれほどここの顧客の資産が豊富で、天井知らずの値が付けられるとしても、どうでもいい商品に金を捨てる者はいない。どれほど酔狂と言われようとも、湯水のように金を注ぎ込んで落札するのは、それだけの価値があると判断してのことである。それ故、このハウスでは、その莫大な金銭に見合うだけの価値があるという確かな品質を監査して証明し、適切な評価額を算定して、奴隷の値段を付けていた。

 通常のオークションにおいて、奴隷の値段は3回付けられる。それは奴隷以外のどんな商品のオークションとも変わらない。すなわち仕入れ値、競売の初値、そして落札値である。
 仕入れ値とはそのままの意味で、このハウスに奴隷を持ち込む“業者”から、商品を仕入れる値段ということである。この業者というのは、一般の人間を奴隷として引きずり落とし、商品として売る者たちである。その業態や規模はさまざまであるが、いずれもお日様の下を大手を振って歩けるような商売ではない。いくつかをここで紹介しよう。

 例えば捕獲専門の業者がいる。猟師が鳥獣を狩って肉として売るように、猟師が魚を狩って魚肉として売るように、人間を狩って奴隷として売るのである。もちろん、一般の世界では誘拐と言われる犯罪である。手塩にかけて育てた愛する子供を、何の咎もなく奪われる保護者の悲しみは想像にするに堪えない。しかし、この業者に言わせれば、脅迫して身代金を取るような面倒なことはしないし、誘拐とは言わないと嘯くだろう。彼らは金になる商品を捕獲しているにすぎない。それこそ猟師や漁師が、食べるために鳥獣や魚を獲って殺すのに比べたら、自分たちの仕事はまだ良心的であるとも。それが、捕獲した人間の、人間としての人生を奪うことであっても。
 しかも、このような捕獲業者は、より高額の値が付けば、どのような引取先であっても意に介さない。それが奴隷のオークションハウスであろうとも、移植用臓器の業者であっても、食肉業者であろうとも。なので、もし捕獲した人間が奴隷としての価値が付かなければ、それは即座にそちらの業者へと回すだろう。その場合、売却から程なくして、捕獲された人間の命の火は奪われることとなる。しかしそれも捕獲業者に言わせれば、自分たちが手を下すわけではないと一笑に付すだけだろう。むしろ、ならば奴隷として売られることは、まだ幸せであろうと言うかもしれない。
 いずれにしても、捕獲専門の業者は、売るために捕獲するのであり、その奴隷の価値を損なうような事はしない。傷を負わせることや、ましてや処女を奪うことなどはあり得ない。ということになってはいるが、後ろ暗い人間の商売であるから、味見と称して手を付けられていることもままある。それを正確に見極めなければ、オークションハウスのスタッフとしては失格である。また、その業者の軽挙妄動によって価値が著しく下がってしまったら、捕獲された人間にとっては一番の不幸である。気ままな陵辱の末に、行き先が狭まることになるからだ。悪い方へ悪い方へと。

 また例えば、金融機関から売られてくる場合もある。いわゆる「借金の形に身売りする」ということである。売られた金額は、本人や家族の借金の返済に当てられる。だから、自ら決意して奴隷に身を落とした者にとっては、高値が付くほど喜ばしい。なので、そういった出自の奴隷は、自らの商品価値を上げるために、積極的に研修に取り組む。オークションハウスにとっては非常に扱いやすい商品となる。
 しかしまた、本人の意図ではなく借金の形に売られてしまうこともある。その多くは、親が子供を売るというなんとも悲しい話も、何時の時にも必ず存在する。ごくたまに、仇や敵を陥れ、その相手から被った被害の弁済として売り飛ばしてしまうということもある。

 いずれにしても、このハウスでオークションにかかる奴隷は、落札額がいかに高くなろうとも、その金額が借金の返済に反映されることはない。
 このハウスでは原則的に、一度商品を仕入れる。つまり買い取ってハウスの所有物とした上で、オークション主催者であるハウス自身が、すべての商品の出品者となるかたちをとっている。つまり、落札額が高騰すれば、それはハウスの収益となり、奴隷となった者の方へ回る金額に変わりはない。これは奴隷が知ることはない事実である。家族が抱えている借金をすべて返済できる額で落札され、ステージ上で涙を流して喜び、落札した主人に熱心に奉仕する奴隷の姿が時折見られる。しかし、必ずしも借金がすべて返済されているとは限らない。不足分を埋めるために、更に別の家族が奴隷として売られているということも、珍しくはないことである。
 
 そのような奴隷たちの身の上は、顧客たちの嗜虐心をそそるエピソードとして、カタログとともに公開される。数ヶ月前のカタログにあったものをひとつ紹介しよう。
 仲の良い二人姉妹と両親の四人家族があった。両親は小さなレストランを経営していたが、借金の保証人を引き受けてしまい、お決まりの道を辿った。両親は懸命に働いたが、過労のために事故を起こし、姉妹だけが残った。いや、姉妹だけならまだ良かった。借金も残ったのだ。まだ中学生と小学校中学年の姉妹は、両親を失い、その家族の誰にも故のない莫大な借金を得たのである。未成年である少女たちには、それを返済する術などなかった。いやそもそも、法的な手続きをきちんと踏めば、まだ十代の階を登り始めた二人が背負い込む必要のない重荷だったのかもしれない。しかし、貸し主はそうは思わなかった。貸し主は、天国まで取り立てに行く代わりに、二人の娘を地獄に落として金を作ることにしたのである。
 まず、姉が売られ、妹は児童養護施設に行くこととなった。このとき、姉妹セットで売られるということはなかった。姉が泣き叫び、懇願したからである。二度と会えなくてもいいから、妹は施設で普通に育てて欲しいと。妹の分まで自分が頑張ると。その結果、姉は自ら奴隷として売られることとなった。もちろん、貸し主たちが、小娘の涙や言葉や心意気にほだされた訳ではない。その時点では妹の方はやせっぽちで、たいした値が付きそうになかっただけのことである。姉妹の借金を精算できるだけの高値がつくように、養育費をかけてでも妹の方を育てることにしたのである。
 そして数年後、姉が売られたのと同い年になったとき、妹も施設を出され、売られることとなった。姉と同じオークションハウスで、同じステージに立って、数年掛けて施設でそれと知らず仕込まれた性的なアピールを振りまいたのだった。
 もちろん顧客には、そのような事情はすべて公開されていた。姉に数年遅れて奴隷となった妹、児童と呼ばれなくなって間もないのに娼婦のように好色な振る舞いをする少女を、顧客たちは興味津々で見つめた。それを落札したのは、姉を落札したのと同じ男だった。男は数年越しに、姉妹を並べて見ることに成功したのである。手元に置いている姉の顔が、奴隷となった妹を見て絶望に暮れるのを、新しく買った妹の顔が、姉との再会に歓喜するのを、そしてその姉の目の前で、妹の処女を奪ってやり、二人が気が狂わんばかりに泣き叫ぶのを、男は待ち焦がれていたのだった。他の顧客たちも、その趣向に惹かれて、お義理程度にしか入札をしなかったので、姉妹の再開は叶ったのだった。その再会と破瓜の儀式は、撮影機材入りの特別室で為され、その様子は逐一撮影された。そのビデオはオークションハウスのライブラリに収録され、人気のコンテンツになっている。
 しかしこれはオークションハウスや顧客たちの酔狂による稀な例であり、借金の形に売り飛ばされるというのは、多くの場合は今生の別れとなるものである。ある者は奴隷となり、ある者は臓器を摂られるために活かされるだけのモノとなることも、驚くほどの話ではない。


 このように業者の仲介を経て、表の世界で人間として生きていた者たちは、奴隷というモノとして売られてくる。それらの商品価値を見極め、仕入れるかどうか。いくらで仕入れるかを決定するのが、小折のような調達部の仕事である。
 調達部は、諸々の業者と交渉して、その奴隷を入荷するかを判断する部署である。その判断は、始めに述べたようにまず、売れるかが基準となる。それもこのハウスの顧客に売れるかということである。
 極端な例を言えば、熟女の肉体が好きな顧客に対して、ローティーン未満の童女が売れると考える者はいないだろう。そのオークションハウスの顧客がそのような嗜好の持ち主ばかりならば、敢えて童女を仕入れることはない。もっともそれが母娘ならば、その娘付きで母娘奴隷として売られることは、ままあるけれども。
 そのように、顧客の嗜好や要望にそぐう商品を仕入れなくてはならない。そのマッチング度が高ければ、顧客満足度はいや増す。そして顧客たちの間で評判が高くなれば、新規顧客の紹介も増えるという好循環が生まれることになる。
 その為に調達部では、すべての顧客リストを頭に叩き込み、仕入れを行っている。それは各人の資産状況や趣味嗜好、そして奴隷の所有状況や過去の購入履歴などにも及び、日々更新されている。過去に購入実績があったとしても、今回も同じように売れるとは限らないからである。顧客同士のつきあいのなかから新たな楽しみを覚えて、守備範囲が広がることも変わることもあるからだ。
 また、いかに商品がその顧客の趣味にピンポイントに合っていようとも、先月購入したばかりでは見込みは薄いだろう。それは資産状況にも依るが、買ったばかりのオモチャに夢中になっている時に、続けて新しいものを買ってもらえるとは考え難いからだ。あまりにもピンポイントな商品を仕入れて、その回に狙いの顧客が参加しなかったら元も子もない。大金が動くものだけに、不良在庫は許されないのである。
 調達部では、そのような様々な要素も踏まえて、売れる見込みを付けて商品を入荷するのである。もちろん、万人受けするような魅力的な商品というものもあるし、個人取引ではなくオークションに出品するので、誰が落札しようともかまわない。より高い値で買ってくれる顧客がいれば、調達部の当初の目論見など問題ではなかった。

 今回、小折は、天童頼子の入荷を決める際に、最近入会したひとりの顧客の顔を思い浮かべていた。
 その顧客は、サンフランシスコ在住の日系三世の資産家だった。自分のルーツを探すということで、日本文化に造詣が深く、海外に流出した浮世絵や焼き物などの骨董品の収集に精力的なこの男は、女性の趣味でも日本人を好んだ。しかも源氏物語の愛好家だったので、若紫のように育て甲斐のある少女を好んだ。もちろんそれは彼の国の法では重罪であるし、ただでさえ童顔な日本人の少女など、世間的には子供としか見られなかった。まともな方法では、そんな少女に近づけるわけもない。そんな男の欲望は、自ずと奴隷の所有へと向いたのである。

 捕獲業者から頼子の資料が回ってきたときに、まず小折の目を惹いたのはその髪型だった。艶やかな黒髪はおかっぱに切り揃えられ、まるで市松人形を思わせた。小振りですっきりした目鼻立ちと、林檎の汁で艶めくおちょぼ口が、その印象を強めていた。おしろいを塗って紅をさしてやったらさぞ映えることだろうと思えた。生憎、写真の頼子は和服ではなく、公立中学のごく一般的なセーラー服を身に纏っていた。しかし、それは奇しくも、若紫と同い年であることを示していたのであった。
 天童頼子は、その人形のように愛らしい容姿こそ目を惹いたが、それ以外は普通の少女だった。共学の公立中学に通っていたが、成績も中の上程度。まだボーイフレンドの影はなく、放課後の部活帰りにはファストフードでおしゃべりに花を咲かすような、ごく普通の少女だった。
 しかし、その部活こそが、頼子の大きな特徴であった。頼子はESS、英語研究会に所属していた。両親がイギリス系の企業に勤めていることから、家族のなかでも英語が飛び交っており、頼子も自然とバイリンガルになっていたのだった。帰国子女ではないものの、年に数回は両親の仕事を兼ねた海外旅行にも行っていて、日常会話程度の英語は不自由なく使うことが出来た。その為、中学生レベルのスピーチコンテストでは、労せずして賞を取っていた。しかし、アメリカ英語をベースとして、しかも文法問題に特化した日本の英語教育であるから、頼子に身につけたクイーンズイングリッシュとは、いささかの齟齬も見られた。物知らずな教師に当たった年は、英語の成績が芳しくなかったりもした。その為、漠然とではあるが、将来は海外の大学に進学したいと考え始めていた。まさかその直後に、こんなかたちで海を渡ることになろうとは、誰も想像だにし得なかっただろうが。
 外見は市松人形のごとき和風美少女でありながら、その愛らしい唇からは流暢な英語が飛び出す。こんなギャップが目を惹かないわけがない。頼子は密かに同じ中学の男子の注目を集めていた。そして捕獲業者の目に止まることにもなってしまったのである。
 小折は、異国在住の顧客のことを頭に浮かべて、入荷の判断を下した。研修中にかかる費用と利益をざっと計算し、オークションの展開から落札価格を想定して、仕入れ値はいくらまでに抑えるべきか。手慣れた仕事をする信頼できる捕獲業者だが、やはり危ない橋を渡ることには違いない。当初は思い切り吹っ掛けてきたが、それを値切ってどうにか交渉を成立させることができた。
 3億。それが、頼子の人生を奪い取った捕獲業者に支払われた金額、頼子の仕入れ値だった。頼子の捕獲はほどなくして実行され、ハウスの研修施設へと搬入された。

 帰宅途中にいきなり誘拐され、訳もわからずに監禁された頼子は当初は激しく抵抗し泣き叫んだ。だが次第に気力を無くし、大人しくなっていった。そのタイミングを見計らって、研修担当、いわゆる調教師が投入された。クリスというその男は、海外経験の多い頼子であっても、見とれるほどの美青年だった。クリスは憔悴した頼子をいたわり、励ましていった。絶望の淵にいた頼子が、そのクリスの与える希望に縋ってしまうのは避けられないことであり、次第に頼子は依存していった。もちろん、そのすべては調教の為のテクニックである。初恋に憧れる年齢の少女の心を掴むことなど、生来の女誑しであり調教師であるクリスには造作もないことであった。その甘く囁かれる言葉によって、追い詰められていた頼子は、奴隷の道へと導かれていった。
 クリスが担当になった理由は、もうひとつある。それはわざわざ言うまでもなく、英語のネイティヴスピーカーだからである。頼子の語学力を活かして、異国へ売られても不自由がないように仕立て上げれば、ただの大和撫子という以上に、大きなアピールポイントとなるはずだった。仮に狙い通りの顧客の手に渡らなくても、英語が堪能な奴隷の需要はあるだろう。海外の取引先との接待に奴隷を使う顧客は多いからだ。クリスは日本語と英語とを巧みに織り交ぜて、秘密の会話を演出し、頼子を籠絡していった。やがて頼子は、ハグよりも熱烈に抱きしめられる腕に身を任せ、舌を絡ませるキスに慣れ、ショーツのなかに指を滑らされることを待ち望むようになっていった。その情事のなかで頼子は自然に、今までに使ったことのない性的な単語や卑猥な言い回しを覚え込まされていった。頼子の性感を開発し、床でも不自由のないように淫語を教えること、それがクリスの仕事だった。
 もちろん、どれだけ恋人気分を演出しようとも、プロの仕事である。奉仕の実践としてその白くて大きいペニスを頼子に頬張らせることはあったが、まだ処女膜の残る幼い穴に挿入することは決してなかった。その大きさを見慣れたときから、頼子はそれが自分のなかに入ってくるのを密かに想像して胸を高鳴らせていたが、その日はついに来ることが無かった。オークションの前夜に、口の中に放たれた精液をようよう飲み下したのが、クリスとの最後の思い出となった。

 頼子のステージでの衣装は、振り袖に決まった。華やかな着物を来た頼子は、まさに日本人形を思わせた。しかしその足下は下駄ではなく、小さいリボンがアクセントに付いているだけの、シンプルなデザインの、真っ赤なローファーだった。これは小折の指定であり、顧客への茶目っ気たっぷりのメッセージだった。
 頼子は、着慣れない振り袖に戸惑いながら舞台の中央まで来ると、正座して三つ指を突いて、会場に向けて挨拶をした。始めに英語で、次に日本語で、同じ台詞を二度繰り返した。淑やかで丁寧な言葉も、淫らで卑猥な言葉も、正しく同じだけの印象の表現を選んで。

「お初にお目にかかります。わたくしは天童頼子と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。わたくしはこのような目鼻立ちをしておりますので、大和撫子とお褒めいただくこともございますが、過分なお言葉に恐縮するばかりでございます。わたくしは淑やかさよりはむしろ淫らさを信条として生きていきたく思っております。未通女が生意気をご不快に思われるかと存じますが、私の女陰は、逞しい男根に貫かれる瞬間を想像するだけで、熱くなってくるのでございます。殿方の肉棒を口一杯に頬張り、雁の裏まで舌を這わさせていただくことを思うと、わたくしの手は自然とお実に向かい、赤貝は潮をだらだらと吐き出してしまうのでございます。こんな淫らなわたくしではございますが、どなたか数寄心のある方がおいでになれば、末永く可愛がってくださいませ」

 それだけ言うと、頼子は舞台袖に下がった。それだけだったが、会場は沸き立ち、入札額はどんどん高騰していった。そして最後に勝利したのは、小折が狙ったあの顧客だった。

『では、サンフランシスコ源氏様のご希望により、No.39807565、天童頼子はこの着物姿のまま、お持ち帰りとなります。サンフランシスコ源氏様は、お名前の通り現在サンフランシスコにお住まいですので、旅券や税関の書類なども併せて、お帰りの際にお席までお届けに上がります。弊社では国外での奴隷の所有についての手配も承っておりますので、皆様もお気軽にお申し付け下さい。この奴隷は、サンフランシスコ源氏様とともに海を渡り、憧れの異国の地にて、ご主人様にお仕えすることとなります。彼の国での奴隷の歴史は古く、主に過酷な労働に用いられてきましたが、今は時代も替わりました。サンフランシスコ源氏様は慈悲深いお方です。この床上手の大和撫子は、その小鳥のような唇から卑猥な言葉を紡ぎ出し、末永く可愛がられることでしょう』





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Date:2009/07/31
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Thema:官能小説
Janre:アダルト

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