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闇の箱

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□ 『研修』 □

『研修』 07 ユーズド(12)

 わたしは、憂子ちゃんをそのままにして、部屋を移りました。といっても、こっちも調教部屋のうちです。
 ここは地下のなかでも一番広くて、倉庫や食料庫のほか全部って感じの広さがあります。なんでそんなに調教部屋が広いのかと言えば、ここがこの館のメインだからです。この館はそもそも、ご主人様がわたしたちを飼うために建てられたものなんです。だから、館の地下に調教部屋があるのではなくて、調教部屋の上に館が建っていると言った方が正しいかもしれません。この館は、ご主人様とわたしたちだけのものなんです。
 ご主人様が窮屈ではなく快適にお過ごしになるためとはいえ、これだけのお屋敷がわたしたちの為に建てられているというのは、すごいことだと思います。本当なら、地下の檻の中にわたしたちを閉じこめたまま、犬のように飼ってもいいはずです。そうしていらっしゃる飼い主の方もたくさんいらっしゃるそうです。でもご主人様は、館の中にわたしたちそれぞれの部屋を与えてくださっています。ご主人様のではないわたしだけのベッドを与えてくださり、食堂で座って普通の食事を摂ることを許してくださり、身の回りの世話のためにメイドさんたちまで雇ってくださっているのです。ある意味では、わたしは奴隷になる前よりも良い暮らしをしています。とてもすごいことです。それにつけても、ご主人様のお召しがあったときには、感謝の気持ちを込めて、精一杯ご奉仕させていただこうと思うのです。

 ええと、それで調教部屋のことですが、それだけの広さがあるので、そのなかでもいくつかの部屋に分かれています。いかにもSMっていう感じのたくさんの器具や用具がある部屋もあれば、畳敷きで和室っぽい拵えの部屋もあるし、何もない部屋もあります。わたしと憂子ちゃんがさっきいたのは、一番入り口から近くて、ベッドしか置いていない部屋です。シンプルでもあるし、色々遊べるスペースがある部屋です。
 今いるのは、入り口から一番奥の部屋です。ここは、昔映画で見たカプセルホテルみたいになっています。いえ、家族で北海道へ行くときに乗った寝台車のような感じかも。…ううん。本当はもっと似ているものがあります。ペットショップです。まるでペットショップのように、檻がたくさん並んでいます。わたしたちの、檻が。
 先ほどお話ししたような破格の扱いがなかったとしたら、わたしたち奴隷は本来このような部屋にいるべきなのでしょう。部屋の中には、お腹のあたりまでの高さの檻が、上下に積まれています。ひとつひとつ置けるくらいスペースはありますが、あえて積まれているんです。上の檻に出入りするための移動式の階段まであります。なぜわざわざそんな風になっているのかって、この方が檻らしいからと、ご主人様が望まれたからです。
 わたしの檻は、右から2番目の下の段です。上の段は今は空いていますが、もしかすると新しい子が入ることになるのかもしれません。空の檻を見つめて、わたしは想像しました。さっきのあの小さな子が、ここに入っていることを。今は空白のこの名札に、ご主人様が名付けられた新しい名前が書き入れられることを想像しました。
 正直に言えば、わたしだって不安です。わたしは今まで“一番新しい子”でしたから、この一年、一番手を掛けていただきました。お披露目のために外に連れて行っていただくことも多くて、ご主人様とかなり長く一緒にいたと思います。もちろん、そのすべてが良い思い出ではありません。わたしが奴隷になりきれてなかった頃には、ご主人様の顔を見るたびに怯えていましたし、ご友人の方に貸し出されて酷い目に遭ったこともあります。でもそれも今では全部、ご主人様との思い出です。
 だから、これから新しい子が来て、そのポジションがわたしのものではなくなるのは、とても寂しいし不安です。だから、憂子ちゃんの気持ちもわかるつもりです。操さんたちが穏やかに見えるのが不思議なくらい。でも、思い返してみればわたし自身も、ここに来たときにはみんなに優しくしてもらいました。憂子ちゃんにも。わたしも、あの子にあんな風に優しくしてあげることができるのでしょうか。こんな不安を抱えたまま。

 少し物思いに耽りすぎました。憂子ちゃんをひとりで待たせてしまっているので、早く戻ってあげないといけません。わたしは檻から踵を返して、壁に並んでいるロッカーに向かいました。有名な交番のマンガに出てくるような、背の高い細長いロッカーで、ひとりひとりの専用になっています。ロッカーといっても、普通の服や小物は、二階の自分の部屋に置いてあるので、ここにあるのは普通でない、要するにえっちなものばかりです。SMの女王様みたいな革の服や、犬になる服、手足を拘束する寝袋みたいな服とか。個人用に寸法を測って造られているものは、ここに保管しておくことになっているのです。
 わたしはまず憂子ちゃんのロッカーを開けて、手に掛けていた憂子ちゃんのお出かけ着を畳んでしまいました。前にもお話ししたように、お出かけ着は肩紐がないドレス風のデザインなので、ハンガーには掛からないんです。元々が柔らかい素材なので、畳んでも皺になりにくいのが幸いでした。畳もうとして広げたときにちょっと見ましたけど、さほど汚れてはいないようでした。オークションにお出かけだったということですから、いろんなものが染みになっていたりするかと思ってたんですけど。もしかすると、汚れないように向こうでも早々に脱いじゃったのかもしれません。
 次に隣の自分のロッカーを開けて、ネグリジェを脱いでハンガーに掛けました。今のキスだけでもけっこう汗ばんでしまったので、わたしも脱いでしまうことにしました。これ以上濡れたらあとで気持ち悪くなっちゃいますから。ちょっと考えて、ショーツとブラももう脱いでおくことにします。どうせそのうち脱いでしまうので、その時に床に下着を放り出してしまうのには抵抗があるので。

 そういえば最近は、裸でいるのに抵抗がなくなりました。例えば前は、家に誰もいなくても、お風呂から出るときにバスタオルを巻かないなんて考えられませんでした。部屋の中で着替えていても、ショーツを履いていないことなんて滅多にありませんでした。でも今は、裸でいたり歩き回ったりすることが、あまり気にならなくなりました。
 誤解しないでほしいのですが、裸でいるのが恥ずかしくないわけではないです。もちろん恥ずかしいに決まってます。誰もいなくても裸でいるのはやっぱりどきどきするし、人に裸を見回されたり、脱がされるのは、いつまで経っても慣れません。
 でも、えっちの時には脱がなくてはなりませんし、その最中にお手洗いに行ったり、ご用事を言いつけられたときに、ショーツを探して身に着けたりしてはいられません。恥ずかしがって手を止めてしまったり、お言いつけに従えないと、お仕置きが待っています。それがご主人様ではなくてお友達の方だったりしたら、何をされるか解りません。ですから、いちいち恥ずかしがってはいられなくて、躊躇う前に手が動くようになりました。
 それに、ご主人様がそうお言い付けになったということは、わたしが恥ずかしがることも、ご主人様のお望み通りなのだろうと思います。だから、恥ずかしくて泣きそうになっても、ご主人様からよくやったと言ってもらえるように頑張っています。

 着替えて、いえ脱いで裸になって、わたしは倉庫になっている部屋に向かいました。二人がお気に入りの、大人のおもちゃを取りにです。
 ちょっと恥ずかしいんですけど、わたしも憂子ちゃんも、ローターが好きなんです。おっぱいにくっつけておくとじーんとしてきたり、おまんこのなかにいれておくとなかから熱くなってきたりして、とても気持ちいいんです。
 たまにふたりでゲームをしたりもします。ふたりでリモコン式のローターをおまんこに入れて、相手に気づかれないようにいきなりスイッチを入れるってゲームです。気持ち良くされちゃったら負けです。スイッチを入れるところを気づかれたら駄目で、その時はもうスイッチは入れられません。そろそろ来るかなって思って牽制したりと、けっこうスリルのあるゲームです。でもそのうちスイッチを入れてほしくなってしまうので、あえて見逃したり、仕返しに相手のスイッチも最強にしちゃって、勝負なんてどうでもよく終わっちゃうこともたびたびです。
 さっきキスをした後、ローターで攻めてみたいなと思いついたので、取りに来たんです。

 倉庫には、ありとあらゆる、ないものはないんじゃないかというくらいのえっちの道具、大人のおもちゃが揃っています。ローターだって、大きさも色もかたちも色んなものがあります。わたしたちがいつも使っているものも、ここから持ち出したものです。
 今日は、ちょっと多めに持って行くことにしました。目隠ししている憂子ちゃんの身体のいろんなところに次々と垂らしたら面白いかもって思いついちゃったので。せっかくだからやってみることにします。コードが付いてないで玉だけだと、どこまでも転がっていっちゃうから、コード付きばかりを選びました。
 あと、ローションの瓶を籠に入れました。これも使うと楽しいのですが、二人だけではあまり使えないので、使ってみたくなったんです。なんでかというと、わたしたちが二人でえっちするのは、自分たちの部屋のどちらかのベッドに潜り込んでというのが一番多いパターンです。そこでローションなんて使ったら、毛布や布団がびちょびちょのねばねばになってしまいます。朝になればお洗濯してもらえるといっても、あまり気持ちいいことではありません。でも今憂子ちゃんが寝ているあのベッドなら、いくらねとねとになっても洗い流せるので、存分に使うことにします。
 わたしは部屋の中を、もう一度見回しました。普段はあまり使わないけど、ちょっと使ってみたいなと思っていたものを、良い機会なので探すことにしました。自分が使われて気持ちよかったものとか、上のお姉さんや他の奴隷さんたちが使っていたものとか。普段はされるがままなので、せっかくなので使ってみたいと思います。わくわくします。憂子ちゃんのことを気持ち良くしてあげたいからと自分に言い訳をしつつ、あちこちの棚を開けて回りました。
 持ち出し用の入れ物は、籐で編まれた籠で、まるで赤ずきんちゃんが持っているランチボックスです。その籠に似合うフランスパンや食器のかわりに、色とりどりのローターやローションなどが入っているというのは、それだけでなんかいけないことをしているようで、どきどきしてきます。
 ちょっと時間がかかってしまいましたが、籠一杯、大人のおもちゃを詰め込んで、用具倉庫から憂子ちゃんの元へ戻りました。

 戻ると、憂子ちゃんが泣いていました。




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Date:2010/01/29
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Thema:官能小説
Janre:アダルト

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