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闇の箱

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□ 『孕む』 □

『孕む』 04 桜子と紺野

 青柳は、桜子の持ち主に声をかけた。意地の悪い笑みを浮かべて。 
「紺野さん、いっそ桜んぼも孕ませてしまってかまわないかね」
 部屋の隅にいた最後の男、紺野は、壁にもたれながら半分寝そべり、煙草を吹かしていた。
「ええ~。かまいませんよ~」
「えっ…。ぁいっ…」
 桜子は、紺野の気の抜けた快諾に面食らい、一瞬、腰の動きを止めてしまう。しかし青柳はそれを許さず、左の手で桜子の左の乳房を強く掴み、乳首を抓んだ。
「嫌か、桜んぼ」
「あっ…はあんっ…。もうしわけ…ありません…青柳様…」
「嫌なのか、と訊いた」
 青柳は、ドスの利いた声で訊いた。青柳は、牝に躾の必要があるとみたときには、口調が変わる。主人として、奴隷に絶対的な立場の違いを思い知らせるために、威圧的な声音になるのである。
「…嫌…では…」
 言い淀む桜子の右の乳首を、すぐ脇にいた翠が、医療用のビニル手袋を着た手できつく抓んだ。
「あひっ…い…たぁっ…」
「せっかく、あかねがお手本を見せてくれているし、青柳様もよく見える体勢で抱いてくださっているのに、満足に返事も出来ないの。まったく、出来の悪い、牝ね」
 桜子は、痛みで声すら上げられなかった。
 ビニル手袋ごしであるし、仮にも医師であるから一般的な女性ほどには爪を伸ばしていない碧の指である。しかしその代わりに、翠は同性の強みで、女がどのようにすればより痛がるかを熟知していた。
「嫌じゃないでしょう。青柳様に、抱いていただけて、幸せです。青柳様の精子を、子宮に戴けるのが、悦びです。青柳様に、孕ませていただきたいです。でしょう」
 翠が一句ごとに、桜子の乳首に爪を立てて、捻るように食い込ませていく。両胸の先端、もっとも敏感なそれに加えられる痛みに耐えながら、桜子は必死で返事を紡いだ。
「はい…んっ…。青柳…様…。桜子は…嫌では…ありません。青柳様に…抱いていただけて…桜子は…幸せ、です…。うっ…あっあっ…。青柳様の…精子を……子宮で、受けます…。桜子を…孕ませてください…」
「よし」
 青柳が、痛みを堪えながら懇願する桜子の顔に顔を寄せ、鷹揚に頷いてみせる。青柳の応えを受けて、翠も手を離した。敬語も満足に使えないのかと何遍でもやり直させてもよかったが、青柳が許したなら、翠に否やはなかった。
 痛みから解放され、桜子は足の力が一気に抜けてしまった。だが、崩れ落ちた先には更なる地獄が待っていた。へたり込んだ桜子は、青柳の太い肉棒をより深くまで迎え入れてしまったのだ。
「あ…かはっ…」
 子宮を直接突き上げられる衝撃に、桜子の息が一瞬止まった。
「おう、さっそく深くまで咥えおったか、感心感心」
 青柳が桜子の胸を撫でてやりながら、褒めた。
「子宮の入り口が解るぞ、桜んぼ。そんなにワシの子種がほしいのか」 
「桜子もいいそうですから、どんどんやっちゃってくださいね~青柳さん~」
「ははは。紺野さんは太っ腹だ」
「いえいえ。青柳さんにはかないませんよ~」
「おう、出っ腹では負けませんぞ。おっと、あかねにはかなわんがな。はっはっは」
 妊婦の腹に向かって、愉快そうに青柳が笑う。

 
「そういえば、妹の方は今日は連れてきていないんですか」
「桃香は今、人に預けてあるんですよ~。いつまでも同じじゃなくて、別々の環境に置いてみようと思いまして~」
 桃香は、桜子の双子の妹である。
 
 桜子と桃香の姉妹は、ほんの半年前までは、受験を控えた普通の女子学生だった。夏期講習の合間を縫った海水浴で、紺野に目を付けられたのがこの姉妹の不運であった。 
 紺野は昨年の夏、海辺の別荘での避暑がてら、当時飼っていた牝奴隷に羞恥プレイを仕込んでいた。その時、近くの岩場で友達と遊んでいた姉妹を見て、一目で惚れ込んだのである。紺野はその牝奴隷を使って、姉妹を巧みに誘い出し、別荘に監禁して調教して、奴隷に堕としてしまったのだ。
 
 紺野は、柿崎の次に若く、まだ三十路の坂を越えたばかりだ。しかし趣味の年期と奇抜な趣向にかけては、一目をおかれていた。貴族の末裔であり、このような退廃的な趣味も、彼の一族の伝統として代々引き継がれているのであった。
 紺野は10歳の頃、父親のお下がりの牝で筆降ろしをしたのが、この趣味の始まりであるという。それから今までに、何体もの牝奴隷を飼っており、通り一遍の調教は、若いうちにやり尽くしてしまっている。なので最近では、街で目を付けた少女を捕獲するところから始めて、自分の手で少しずつ調教を施すことを楽しみとしていた。

 牝奴隷を手に入れる方法はいくつもあるが、捕獲つまり世間的には誘拐や拉致監禁と呼ばれる行為は、リスクと手間が伴うため、自分の手で行う者はあまりいない。もちろん、この場にいる男達のような奴隷の飼い主たちは、社会的なリスクなど回避できるだけの権力や財力を持つ者ばかりである。しかし、だからこそ、気に入った娘がいたら、身辺を調べ、謀略によって娘の生活を破綻させ、身売りするように仕向けることができる。早急に欲しくて捕獲するにしても、専門の業者を雇うこともできる。もちろん、身売りされた奴隷を扱う業者から買うこともできるし、オークションで競り落とすこともある。手に入れる手段はいくらでもあるのに、文字通り自分の手で、捕獲するところから始めるのは、ある意味ではとても贅沢なことであった。
 だが、牝は自分で狩って手に入れてこそ。というのが紺野のこだわりである。
 捕獲したての娘は、突然の出来事に戸惑い、怯えて泣きわめいたり、逆上して反抗したり、初手から様々な反応がある。そこから娘の性格を見極め、より効果的な言葉や責めを選んで調教を施すのが楽しい。それはチェスにも似ていると紺野は語る。家に帰れるという偽りの希望を与え、取り返しの付かない絶望を垣間見せ、主人の肉棒で突かれる快楽を教え込む。反抗心を鞭で屈させ、絶対的な服従を求める。上辺だけの恭順を嗤い、自ら奉仕する姿勢に対しては惜しみなく褒める。失神を繰り返させて虚ろになるまで責めた後に、つきっきりで傷を看病し労るのが良い場合もある。様々な手段を用いて、普通の生活を送っていた女性の精神を壊して、牝奴隷に堕とす。そこには、戦意溢れる指し手の思考を幾手先まで読み、相手の王を手にかける盤上の遊戯にも勝る知的な楽しみがあるのだという。それは、未来を諦めて奴隷となり、市場に出てくる娘では、決して味わえない楽しみなのだとも。
 
 その紺野が、近年で一番入れ込んでいるのが、この桜子と桃香の双子の姉妹である。今までにも普通の姉妹や母娘といった組み合わせを手がけたことはあったが、双子の姉妹というのは紺野にとっても初めてであった。
 双子の同じところ似ているところを比べて喜び、違うところを見出しては、故なく褒め気ままに貶す。双子の息の合い方、互いを思い遣る仲の良さを利用して精神的に追い詰める。また一方で、競争心を芽生えさせ、嫉妬心を煽って、積極的に奉仕に励ませるなど、ただの姉妹以上の楽しみがあると語っていた。
 しかし、紺野は熱しやすく冷めやすい性質であり、一人前の牝奴隷に仕立て上げてしまうと、その牝に対する関心を失うこともたびたびであった。紺野にとっては調教自体が楽しみであり、情を通じさせた牝を手元に留め置くことはほとんどなかった。そのような完成品の、紺野にとっては使用済みの牝奴隷は、オークションに出品して売り払ってしまうのである。紺野の躾の行き届いた牝奴隷は、市場での評価も高かった。だからといって、生業として牝奴隷の調教を行っているわけではない。金銭の為ではなく、あくまでも自分の楽しみとして、多くの女性の人生を奪っているのである。
 桜子と桃香の姉妹も、娘盛りにもまだまだ足りない年齢であったが、後戻りできない牝奴隷への道を少しずつ歩まさせられていた。
 
 半年間の調教は、主人以外にも嫌な顔をせずに奉仕し、従順に股を開くように姉妹を変えていた。心の底では未だに嫌悪や躊躇いを覚え、諦めきれない希望を抱えている。だが、男の肉棒で膣内を擦られた分だけ、抵抗感は摩耗し、責められて気をやるたびに、希望は鈍く光を失っていく。このままでいけば、夏を待たずに、一人前と呼べるほどの牝奴隷になると、紺野は長年の経験から予測していた。
 だが、全てが予想通りにいってしまっては、これまた面白くない。せっかくの珍しい素材なのだから、もっと時間をかけて楽しみたいという思いがあった。そこで新機軸として、妹の桃香を貸し出し、別々の環境に置くことにしたのである。貸し出しの期限は年明けから三ヶ月間。桜の花が咲く頃に、桃香は戻ってくることになっていた。

 それだけではない。桃香が戻った時には、姉妹の卒業試験をすることを紺野は取り決めた。その試験で、牝奴隷としての成績が上の方を合格、点数の低い方は落第とすることを言い渡していた。しかし、その合否が何をもたらすのかは、姉妹には伝えられていない。桜子がいくら質しても、紺野は言を左右にして韜晦するばかりであった。
 その為、桜子はこの一月の間、不安の渦中にあった。自分たちの身がどうなるのか、想像は悪い方にばかり働く。卒業とはどういうことなのか。合格した方は、一人前の牝奴隷として、市場に売られてしまうのかもしれない。落第した方には、補修として、より一層酷い責めが待っているのかもしれない。今日のような会で紺野が飼い主仲間と交わす会話の中に、真意が見えないかと、桜子は気が抜けなかった。もしかすると、落第した方は素質なしとして、解放されるのではないか。そんな淡い期待を持つこともあった。
 けれども、もし自分が解放されたとしたら、妹はこの生活に残ることになる。そう考えると、気軽な期待も抱けなかった。どのような判定が下されようとも、そこで姉妹の道が完全に分かれる可能性を想像すると、桜子は怖くてたまらなかった。願わくば、二月後の試験で桃香と全く差が付かないことを。趣味人で酔狂なご主人様が、双子の自分たちを面白がり、末永く手元に置いてくれることを、桜子は願っていた。もし売られることになるとしても、姉妹セットでがいい。ご主人様の機嫌を損ねないようにして、いざとなれば縋り付いてでも勘弁してもらおう。生まれてからずっと一緒に育ってきた妹と引き離され、桜子は悲壮な決意を固めていた。もはや、二人揃って元の生活に戻る、などという考えは、桜子は抱かないようになっていた。
 もちろん、紺野はそのような考えを全て見通している。どのような試験をして、どのような結果を言い渡すのかはまだ決めていないが、少なくともこの三ヶ月間が、桜子をより一層従順にすること。どのような過酷な処遇であっても、二人を引き離さないということだけで、桜子にとっては光り輝くような希望に思え、感謝をもって迎えられるだろうことは、明らかであった。そして、その希望を最後の最後で打ち砕いてやった時、絶望に歪む姉妹の顔を想像するのもまた、堪らない愉悦を紺野に与えるのだった。


「ほう。じゃあ妹の方も、今頃孕んでるかも知れませんね」
 柿崎も興味をそそられたらしい。
「同じ時期に孕んだら、それも面白いですねえ。双子の真骨頂だ」
「んー、そうですねえ~。そしたらまた同じになっちゃいますねえ~」
「それなら、生まれた子は、はじめから引き離して育ててみてはいかがでしょうか。全然違くなるように。でも遺伝子的には異父姉妹ですから、それでも案外似ちゃうかもしれませんし」
 翠が口を挟む。
「あ、じゃあどちらも紺野さんの種なら、遺伝子的には姉妹になるってことですよね」
「そうなりますわ。母親が一卵性ですから」
「それはそれで面白いですね~」
「片方は牝にして、片方は普通に人間として育てるというのはどうだね」
「おお。大きくなったときには、娘の方も牝にしてしまうんですね」
「その瞬間が楽しみですねえ」
「身近で育てるか、離して育てて後で引き会わせるかでも大きく違うでしょうね」
「会わせたときに、娘の方が牝に高慢ちきな態度を取ったら、それを一から躾けてやるのは楽しいだろうなあ」
 柿崎が嗤った。
「夢は広がりますねー」
 女たちが耳を塞いでしまいたいような話題で、男達の談笑は続く。
「いやいや、片方が牡でも面白いじゃないか。いとこでありきょうだいでもある女を孕ませさせるなんて、男の夢だよ。羨ましい」
「血筋的にはどうなるんでしょうね。かなりのインブリードになりますが…」
 桜子は、青柳の腰の上でひとり青ざめていた。自分が子供を宿してしまうかもしれないこと。その子供の処遇が簡単に決められてしまいそうなこと。身籠もった身体で、乳飲み子を抱えて、家に帰れるわけもない。なによりも自分たちを牝として、血統書付きの動物の交配をするように話す男達の口ぶり。人ではなく女でもなく牝なのだと当然の如く考えている男達の意識を、桜子は改めてまざまざと感じて怯えていた。
 だが、頭の中がどれだけ混乱していても、腰の動きを止めることはなかった。先ほどの青柳と翠の仕置きが身に染みたからだ。しかし本当は、自ら快感を貪り、それに紛らせて、考えなくてもいいようにしてしまいたかったのかもしれない。




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Date:2009/06/03
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Thema:官能小説
Janre:アダルト

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